
ツーホイールズライフ
こんにちは。ツーホイールズライフ、運営者の「S」です。
2025年のEICMA(ミラノショー)で、ついにホンダから新型の「CB1000GT」が発表されましたね。これ、待っていた方も多いんじゃないでしょうか。私もその一人です。
ベースとなったCB1000ホーネットの発表から、ツアラーモデルの登場は噂されていましたが、いざ蓋を開けてみると、単なる派生モデルとは言えない「全部入り」の豪華装備で登場しました。スポーツツアラー市場は今、スズキのGSX-S1000GXやヤマハのTRACER 9 GT+、カワサキのNinja 1100SX SEなど、強力なライバルがひしめく激戦区です。
だからこそ、「CB1000GTの日本での発売日はいつ?」「価格はいくらになる?」「ホーネットやNT1100との違いは?」「ライバルと比較してどうなの?」といった点がすごく気になりますよね。特に注目なのは、ショーワの電子制御サスペンションEERAを搭載しながら、英国で発表された価格がかなり戦略的だったことです。
この記事では、CB1000GTの気になるスペックや電子制御、豪華な標準装備の詳細から、気になるライバル車種との比較まで、現時点で分かっている情報を詳しくまとめていきたいと思います。
記事のポイント
- CB1000GTの注目すべきスペックとエンジン特性
- ショーワEERA(電子制御サス)など先進の電子制御
- 驚くほど充実した標準装備(パニア、シフター等)の詳細
- ホーネットやNT1100、競合ライバルとの徹底比較
CB1000GTの全体像と性能
まずはCB1000GTがどんなバイクなのか、その心臓部であるエンジンや注目のスペック、そして豪華すぎる装備内容をチェックしていきましょう。ホーネットベースとはいえ、中身はもはや別物と言っていいかもしれませんね。
新型CB1000GTの価格と発売日

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まず一番気になるのが、日本での発売日と価格ですよね。
2025年11月のEICMAで発表された時点では、日本国内での発売日や価格はまだ正式にアナウンスされていません。(2025年11月現在)
ただし、大きなヒントとなるのが英国で発表された価格です。CB1000GTは、電子制御サスペンションやフルパニアケースなど、通常ならオプション扱いの装備をすべて標準搭載していながら、英国価格は£11,999と発表されました。(出典:Honda Global EICMA 2025発表)
この「£11,999」というのが、とんでもない戦略価格なんです。
例えば、直接のライバルとなるスズキ「GSX-S1000GX」やヤマハ「Tracer 9 GT+」の上級グレードは、英国では£14,000から£15,000の価格帯です。つまり、CB1000GTは同等以上の装備を持ちながら、ライバルより約£2,000〜£3,000(日本円で約30〜50万円以上)も安価という衝撃的な値付けがされています。
なぜこんな価格が可能なのかといえば、やはりホンダの「プラットフォーム戦略」が鍵ですね。エンジンは実績のあるCBR1000RR由来、メインフレームはCB1000ホーネットと共通化することで、開発・製造コストを徹底的に最適化しているんだと思います。
日本での価格はどうなる?
仮に£11,999を単純に円換算(為替レートによりますが)すると、200万円を大きく下回る可能性があります。ホンダのラインナップ内で見ても、NT1100(184.8万円)やNinja 1100SX SE(198万円)あたりと比較しても、非常に競争力のある価格になるのではないでしょうか。
これはもう、1台あたりの利益を追う「プレミアム戦略」ではなく、市場シェアを本気で獲りにきた「ボリューム戦略」だなと感じます。
発売時期については、2026年モデルとして発表されているため、日本での発売は2025年中頃から後半、あるいは2026年初頭になるのではないかと予想しています。正式なアナウンスが本当に待ち遠しいですね!
価格に関するご注意
ここで記載している価格情報は、あくまで英国での発表内容や他モデルからの予想に基づくものです。為替レートの変動や日本国内仕様の装備差などにより、実際の日本国内での販売価格とは異なる可能性があります。最新の正確な情報はホンダの公式サイトや正規販売店で必ずご確認ください。
注目のスペックとエンジン性能
CB1000GTの魅力は、価格だけでなくその中身にも詰まっています。特にエンジンとシャシーは、「GT」の名にふさわしい専用の作り込みがされています。
専用チューニングのエンジン
CB1000GTの心臓部には、CB1000ホーネットと共通の水冷DOHC直列4気筒1000ccエンジンが搭載されます。このエンジンは、もともと2017年型CBR1000RR Fireblade由来のパワフルなユニットですね。
最高出力は147.6 hp (110.1 kW) @ 11,000 rpmと公表されており、これはベースのホーネットと同じ数値です。スポーツツアラーとして、十分すぎるほどのパワーかなと思います。
ただし、中身は「GT」専用にチューニングされています。スロットルバイワイヤ(TBW)のセッティングが変更され、特に低中回転域でのレスポンスが、ホーネットよりも意図的に滑らかにされているようです。
これは、単にパワーを抑えたという意味ではありません。直4の強力なピークパワーはそのままに、スロットルの開け始めの「ドンツキ感」をなくし、ジェントルにパワーが立ち上がる特性にしているんですね。これによって、長距離走行時のジワジワとした疲労や、タンデム(二人乗り)で後ろのパッセンジャーがギクシャクするのを防ぐことができます。パワフルだけど扱いやすい、というのがGTの魅力になりそうです。
安定性を生む専用シャシー
シャシー面でも、ホーネットからの変更点は非常に大きいです。
- 専用サブフレーム: 最大の違いがここかもしれません。パニアケースへの荷物フル積載や、パッセンジャーとの二人乗りといった高い負荷に耐えるため、シートレール(サブフレーム)が剛性の高い専用設計になっています。
- ロングスイングアーム: ホーネットの619mmに対し、GTは16mm長い635mmの専用スイングアームを採用しています。これに伴いホイールベースも10mm延長(1465mm)され、フル積載状態での高速直進安定性を格段に向上させています。
- 大容量タンク: 燃料タンクは21L(5.6ガロン)の大容量を確保。公式情報では1回の給油で200マイル(約320km)以上の航続距離が期待できるとのことで、ツーリング派には本当に嬉しいポイントですね。
シート高は825mmと、ホーネット(809mm)より高くなっていますが、これは長距離走行の快適性を最優先した結果。ライダー側で15mm、パッセンジャー側で39.5mmという、非常に分厚い専用シートパッドを採用しているためです。足つき性は少し気になりますが、快適性とのトレードオフとして納得できる部分かなと思います。
スペックの詳細を下のテーブルにまとめてみました。
【CB1000GT 詳細スペック(欧州仕様)】
| 項目 | 詳細スペック |
|---|---|
| エンジン形式 | 水冷4ストローク DOHC 4バルブ 直列4気筒 |
| 排気量 | 1000cm³ |
| 最高出力 | 147.6 hp (110.1 kW) @ 11,000 rpm |
| 最大トルク | 102 Nm (75.2 lb-ft) @ 8,750 rpm |
| フレーム | スチール製ダイヤモンドフレーム |
| フロントサスペンション | Showa 41mm USDフォーク、EERA電子制御 |
| リアサスペンション | Showa モノショック、Pro-Link、EERA電子制御 |
| ホイールベース | 1465 mm |
| シート高 | 825 mm |
| 車両重量(縁石) | 229 kg |
| 燃料タンク容量 | 21 L |
カラーバリエーション全3色

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発表されたカラーバリエーションは、以下の3色です。どれもスポーティーかつ落ち着いた雰囲気で、ツアラーモデルにぴったりかなと思います。
- グランプリレッド (Grand Prix Red)まさにホンダのスポーツモデル、という感じの鮮やかな赤ですね。スポーティーさを前面に出したい方には一番かもしれません。
- パールディープマッドグレー (Pearl Deep Mud Gray)最近のトレンドでもある、ソリッドなグレーです。汚れが目立ちにくく、道具としてのタフさや精悍なイメージが際立ちます。個人的にはこの色が一番気になります。
- グラファイトブラック (Graphite Black)定番のブラックですが、車体の抑揚が強調されて非常に引き締まって見えます。高級感もあり、飽きずに長く乗れそうなカラーですね。
日本導入時にこの3色がすべて選べるのか、あるいは日本専用色が追加されるのか、注目したいところです。
EERA搭載の先進的な電子制御
CB1000GTの最大の目玉、そしてライバルに対する最大の武器と言ってもいいのが、この電子制御システムです。
安全性の核となる6軸IMU
まず、ベースのホーネットには搭載されていない「6軸IMU(慣性計測ユニット)」を標準装備しています。これが本当にすごい。
IMUは、車体のピッチ(前後)、ロール(左右)、ヨー(上下)の各軸の動きと加速度をリアルタイムで検出する「頭脳」のようなものです。ホーネット(およびCB1000F)はコストを優先してこれを搭載していません。
CB1000GTはIMUを搭載することで、バイクがどれだけ傾いているかを検知できるようになりました。これにより、「コーナリングABS」や「リーンセンシティブ・トラクションコントロール」といった、高度な安全機能が実現できています。つまり、コーナーの途中で強くブレーキをかけても車体が起き上がりにくく、傾いた状態でもスリップを抑えながら加速できる。この安全性のマージンは、特にツアラーにとって計り知れない価値があります。
ショーワ EERAの具体的なメリット
そして、そのIMUと連携するのが、ショーワ(日立Astemo)製のセミアクティブ電子制御サスペンション「EERA(Electronically Equipped Ride Adjustment)」です。
ショーワ EERAとは?
EERAは、SCU(サスペンションコントロールユニット)が、①ECUからの車速、②IMUからの車体姿勢、③サスペンションのストロークセンサー、これら3つの情報源からデータをリアルタイムで収集・分析します。
そして、わずか15ミリ秒(0.015秒)という速度で前後サスペンションの減衰力を自動で最適化するシステムです。これにより、あらゆる路面状況や走行スタイル(加速、減速、コーナリング)で、常に最適な乗り心地と安定性を引き出してくれます。
具体的にライダーが受ける恩恵は計り知れません。
- 乗り心地の向上: 街中のギャップでは柔らかく、高速道路では硬く、と自動で調整してくれます。
- 安定性の向上: 急ブレーキ時のノーズダイブ(前のめりになる動き)を効果的に抑制。これにより、リアタイヤの接地感も失われにくくなります。
- 疲労の軽減: 荒れた路面を通過する際の不快な突き上げが減るため、長距離走行での疲労が明らかに違ってきます。
これらの電子制御は、5つのライディングモード(STANDARD, SPORT, RAIN, TOUR, USER)によって統合管理されています。特に「TOUR」モードは、荷物満載時や二人乗りに最適化されているとのことで、まさにGTモデルのための機能と言えそうです。リアサスペンションのプリロード(初期荷重)も電子制御で調整できるため、タンデム時や荷物満載時にボタン一つで最適な設定に変更できるのも強みですね。
驚きの豪華な標準装備一覧
CB1000GTのもう一つの驚きは、「これも標準装備なの!?」という豪華すぎる装備内容です。まさに「全部入り」ですね。
以下が、標準装備として発表されている主なアイテムです。
- 脱着式パニアケース: 車体一体デザインの専用品。容量は左側が37L(フルフェイスヘルメット1個収納可能)、右側が28L(サイレンサーを避けるため)です。
- グリップヒーター: 冬や雨天時の必需品。これが標準なのは本当にありがたい。
- クルーズコントロール: 高速道路での疲労を劇的に軽減します。電子制御スロットルだからこそ実現できる装備ですね。
- アップ/ダウン両対応クイックシフター: 発進・停止時以外のクラッチ操作を不要にします。スポーツ走行時はもちろん、ツーリング中のシフトチェンジの負担を減らす「快適装備」としても非常に優秀です。
- 5段階調整式スクリーン: 合計81mm(3.2インチ)の高さ調整が可能。片手で簡単に操作できるようです。
- センタースタンド: 荷物を積載した状態での安定した駐車や、長旅でのチェーンメンテナンスに不可欠。これが標準なのは分かってるな、と思います。
- 5インチTFTフルカラーディスプレイ: 高輝度で見やすく、もちろん「Honda RoadSync」でスマートフォンと連携可能です。
- ホンダ・スマートキー(キーレスイグニッション)
- ナックルガード(ハンドガード): 走行風や雨から手を守ります。
もし、これをオプションで揃えたら…
仮に、ベース車両にこれら(パニア、電サス、シフター、グリップヒーター、センスタ等)を後からオプションで追加したらいくらかかるか…考えただけでも恐ろしい金額になりますよね。
これだけの装備が最初から付いてくるというのは、後から買い揃える手間とコストを考えると、CB1000GTのコストパフォーマンスがとんでもないことになっているのがよく分かるかなと思います。
CB1000GTのライバル比較と評価
さて、ここからはCB1000GTを、ホンダのラインナップ内での立ち位置や、市場の強力なライバルたちと比較していきたいと思います。この比較こそ、CB1000GTの真価が見えてくるポイントかもしれません。
ホーネットとの違いを徹底解説

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「ホーネットにカウルとパニアを付けただけでしょ?」と思っている方がいたら、それは大きな間違いです。
CB1000GTは、快適なツアラーとして根本から再設計されています。一番の違いは、先ほども触れた「電子制御」と「車体設計」ですね。
ホーネットのコンセプトは、あくまで「ストリートファイター」。求められるのは俊敏なハンドリングとアグレッシブな走りです。だからIMUや電子制御サスは搭載せず、ホイールベースも短く設定されています。
一方、CB1000GTのコンセプトは「ハイパフォーマンス・ツアラー」。求められるのは「快適性」「安全性」「積載時の安定性」です。そのために、
- IMUとEERAを搭載して「安全性」と「快適性」を劇的に向上させ、
- サブフレームを強化し、スイングアームを延長して「積載時の安定性」を確保した。
ということです。価格差がもし数十万円あったとしても、それは単なるパニアケースやカウル代ではなく、「車体と電子制御の根本的なエンジニアリングの対価」なんですね。
【CB1000GT vs CB1000ホーネット 主な違い】
| 比較項目 | CB1000GT (ツアラー) | CB1000ホーネット (ネイキッド) |
|---|---|---|
| IMU (6軸) | 標準装備 | 非搭載 |
| 電子制御サス | Showa EERA (標準装備) | 非搭載 (標準サス) |
| コーナリングABS/TC | 対応 | 非対応 |
| ホイールベース | 1465 mm (安定性重視) | 1455 mm (俊敏性重視) |
| スイングアーム | 635 mm (ロング) | 619 mm (ショート) |
| サブフレーム | 強化型・新設計 | 標準設計 |
| スクリーン | 5段階調整式 (標準) | なし (メーターバイザー) |
| パニアケース | 標準装備 | オプション |
| クルコン | 標準装備 | 非搭載 |
| グリップヒーター | 標準装備 | 非搭載 |
| センタースタンド | 標準装備 | 非搭載 |
このように、CB1000GTはもはや兄弟車というより、ホーネット・プラットフォームをベースにした「最上位モデル」と言うべき存在ですね。
NT1100との比較。どちらを選ぶ?
ホンダのツアラーには、すでに大ヒットモデルの「NT1100」があります。ここが一番悩ましい比較かもしれません。
両車の最大の違いは、「エンジン形式」と「トランスミッション」、そして「サスペンション」です。
- エンジン:
- NT1100: 直列2気筒(アフリカツインベース)。低中速トルクが厚く、「トコトコ」とした鼓動感が魅力。
- CB1000GT: 直列4気筒(Firebladeベース)。高回転まで「シューン」と回るスムーズさと、パワーの伸びが魅力。
- トランスミッション:
- NT1100: マニュアル(MT)と、ホンダ独自のDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)が選べる。
- CB1000GT: MTのみ(ただしアップ/ダウン対応のクイックシフター付)。
- サスペンション:
- NT1100: 標準的な(電子制御ではない)サスペンション。(※2025年モデルでIMU搭載の噂もありますが、EERAとは異なります)
- CB1000GT: 高性能なShowa EERA(電子制御サス)を標準装備。
どっちを選ぶ? ターゲット層の違い
これはもう、どちらが優れているかではなく、ライダーの好みで明確に分かれると思います。
「クラッチ操作から解放されたい」「DCTの快適さ、イージードライブが最優先」「2気筒のトコトコとした鼓動感が好き」という方は、NT1100が最適かなと思います。比較的リラックスした、快適なツーリングを志向する層ですね。
一方で、「高回転まで回す4気筒のスムーズさと興奮が欲しい」「EERAによるアクティブな走りを体験したい」「自分の左手と左足でMTを操る楽しさがバイクの醍醐味だ」という方は、CB1000GTがドンピシャでしょう。スーパースポーツや大型ネイキッドからの乗り換えも視野に入れた、よりスポーティーな層がターゲットですね。
ホンダは「快適・実用ツアラーのNT」と「スポーツ・パフォーマンスツアラーのGT」として、うまく棲み分けをしてきたな、という印象です。
GSX-S1000GXとの比較

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スズキの「GSX-S1000GX」は、CB1000GTの最も直接的なライバルです。「直列4気筒+電子制御サス」という、まったく同じコンセプトを持っていますからね。
GSX-S1000GXは、スズキ独自の電子制御サスペンション(SAES)を搭載し、CB1000GTよりもわずかにサスペンションストロークが長く(前後150mm)、シート高も845mmと高め。よりアドベンチャーバイク寄りのアップライトなポジションを持つ「クロスオーバー」としての性格が強いのが特徴です。
対するCB1000GTは、前後17インチホイールを堅持し(ストロークはF:130mm / R:144mm)、シート高も825mm。より低いスタンスのオンロード「スポーツ」ツアラーの性格を強めています。
どちらも素晴らしいバイクであることは間違いありませんが、CB1000GTの最大の武器は、やはり価格競争力でしょう。GXが提供する体験(直4+電サス)を、より低価格で、しかもパニアケースまで標準装備で実現できるとなれば、これはスズキにとってかなりの脅威になりそうです。
TRACER 9 GT+との比較
ヤマハの「TRACER 9 GT+」も、このセグメントの強力なベンチマークです。
最大の違いはエンジン。CB1000GTが「直列4気筒」なのに対し、Tracer 9はトルクフルで独特なフィーリングの「3気筒」です。これはもう性能の優劣ではなく、完全に好みの世界ですね。3気筒の個性的なフィーリングが大好きという方も多いと思います。
装備面でのTracer 9 GT+の強みは、電子制御サスペンションに加え、前方の車両を追従する「レーダークルーズコントロール(ACC)」を搭載している点です。これはCB1000GTにはない機能です。
したがって、選択の基準は比較的シンプルかもしれません。
- 高速道路の快適性を最優先し、ACCが絶対に欲しいなら → TRACER 9 GT+
- ACCは不要、それよりも4気筒のスムーズさとEERAの性能、そして(恐らく)より安価な価格を重視するなら → CB1000GT
Tracer 9 GT+(日本価格198万円)と同等以上のEERAサスペンションを搭載しながら、英国価格ではそれを大きく下回っているCB1000GT。この価格差が日本でどうなるか、非常に興味深いです。
Ninja 1100SXとの比較

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カワサキの「Ninja 1100SX」は、伝統的な「スポーツツアラー」の強豪です。※(データベースに基づき1100SXと表記)
上級グレードの「SE」モデルは、カワサキの電子制御サスペンション(KECS)を搭載し、CB1000GTと真っ向からぶつかります。こちらも「直列4気筒+電子制御サス+パニア(SEは標準装備)」という同じ方程式です。
Ninja 1100SX SE(日本価格198万円)も非常に完成度の高いバイクですが、Ninjaがフルカウルに包まれた「伝統的なスポーツツアラー」のスタイル(ポジションもやや前傾)であるのに対し、CB1000GTはハーフカウルとアップライトなハンドルを持つ「モダンなクロスオーバースタイル」です。このスタイルの好みも分かれるところでしょう。
CB1000GTは、よりモダンなスタイルと、EERAという最新の電子制御サス、そして何よりアグレッシブな価格設定で、このベテランの牙城に勝負を挑むことになります。
ライバルとの比較について
ここで挙げたライバル車との比較は、公表されているスペックや装備、価格帯(海外含む)に基づいた私個人の見解です。バイクの魅力は、スペックや装備の数だけでは測れません。
エンジンのフィーリング、ハンドリングの味付け、ポジションのしっくり感など、実際に乗ってみないと分からないことがたくさんあります。最終的なフィーリングや乗り味は、人それぞれ好みが大きく分かれる部分です。
購入を検討される際は、必ず各メーカーの正規販売店で試乗し、ご自身の感覚で比較・判断されることを強くお勧めします。
CB1000GTの市場評価と総括
さて、ここまでホンダの新型「CB1000GT」を見てきました。
私の総括としては、このバイクは「スポーツツアラー市場の価格と常識をリセットする、とんでもない戦略モデル」だと感じています。
単にホーネットの派生モデルではなく、ツアラーとして専用設計された車体(サブフレーム、スイングアーム)と、ベースモデルにはない高度な電子制御(6軸IMU+Showa EERA)を手に入れました。
その上で、パニアケースからグリップヒーター、クイックシフター、センタースタンドに至るまで、ツーリングに必要な装備を「全部標準装備」としています。
そして何より衝撃的なのが、これら全てを搭載しながら、英国価格£11,999という、競合他社の「電サス付きモデル」よりも明らかに安価な価格設定で提示してきたことです。
このモデルの登場により、1000ccクラスのスポーツツアラーにおいて、「セミアクティブ電子制御サスペンション」は、もはや高価な「プレミアム機能」ではなく、£12,000以下のモデルでも搭載される「新たな標準(ニューノーマル)」へと引き上げられたと言っても過言ではないでしょう。
これまで「電子制御サスやフル装備のツアラーは欲しいけど、価格が高すぎる…」と諦めていた層にとって、CB1000GTはまさに待望の、そして最強の選択肢になるのではないでしょうか。
日本での正式な発売日と価格の発表が、今から本当に待ち遠しいですね!
以上、ツーホイールズライフの「S」でした。